一戸建て住宅のリフォームは、平面はもちろん、吹き抜けを設けるなど上下階も含めた大幅な間取りの 変更が可能。ただし、建物の工法によっては壁や梁が撤去できないなど、構造上の制約もあるので注意を。 監修/ハートライフDaiken 株式会社 大建建設 リフォームアドバイザー 高橋 尚久さん
水まわりや部屋の位置を変える、壁を取り払い複数の部屋を繋げるといった間取りの変更は、建物の構造や工法によって自由度が違ってくる。例えば、柱と梁で建物を支える木造軸組工法などの場合は、他の工法と比べると自由度はかなり高くなる。
既存の屋根に天窓(トップライト)を設けることは、よほど大きな窓でなければ可能。ただし、雨漏りを防ぐための防水処理をきちんと行うことが重要だ。また、場合によっては屋根の強度を保つための補強工事が必要となる。
吹き抜けは、上階の床の一部や最上階の天井を取り外して造ることになる。建物の構造強度に影響が出ない限り実現可能。例えば、木造軸組工法の建物の場合は、比較的容易に吹き抜けを作ることができるが、鉄骨造の建物 は鉄骨の梁を動かせないため、吹き抜けのリフォームは難しい。
建物の強度に影響がない外壁であれば、新たに窓を増やしたり移動したりすることができる。逆に、建物を支えている耐力壁に新たな窓を設けることは難しい。また、防火地域・準防火地域の場合、建築基準法で定められた箇所に防火サッシを使う必要があるので確認を。
キッチンを明るい場所に移動したり、向きを変えて対面式キッチンにしたり、リフォームの自由度は高い。ただし、元の位置から大きく移動する場合は、給排水経路の見直しが必要で、費用が上がる。
コンセントを増やしたり、位置を移動させることは比較的自由にできる。なお、増設によって電力使用量が増える場合、電力会社との契約容量を大きくする必要が出てくる場合もあるので確認を。なお、一般的な埋込型コンセントと比べると、配線が露出する露出型コンセントの方が安価で増設できる。
一戸建てのリフォームは、水まわりの変更に制約が少ないのが特徴。トイレや浴室の位置を移動したり、2階にトイレを増設したりと、かなり自由な変更が可能だ。 ただし、キッチンと同様に元の位置から大きく移動する場合は給排水経路の見直しが必要で、費用が上がる。
土地ごとに決められた建ぺい率・容積率・高さ制限・北側斜線制限の範囲内であれば増築が可能。新築時から各規制が変更されている場合もあるので確認を。また、平屋から2階建 てに増築する場合、構造の補強工事が必要になる場合もある。
床の段差をなくし、平らにするのは比較的容易にできる。浴室の出入り口もバリアフリー仕様の引き戸などで対応可能。また、階段やトイレなどに手すりを設置する場合は、壁に補強が必要な場合がある。使う人の体によって、最適な位置や形状が異なるので、バリアフリー工事の実績のある会社に依頼したい。
建築基準法の耐震基準は1981年6月1日に大きく改正された。 それ以前に建築確認を行い建てた建物は、十分な耐震性能を備えていない可能性がある。例えば、左図のように2階を支える1階の壁が足りない家や、一面に窓が多い家など、建物を支える耐力壁が足りないケースがそれに該当する。このような住宅の場合はきちんと耐震診断を行い、適切な補強を施すことで十分な耐震性能を確保することができる。
マンションには「専有部分」と「共用部分」があり、個人がリフォームできるのは「専有部分」のみ。例えば、居室空間の内側(内装や建具)は、ほぼ全面的にリフォームが可能。また、キッチンやトイレ、浴室などの水まわりは、給排水管を動かせれば位置の移動ができる。一方、玄関ドアや外廊下、外壁、バルコニーなどマンションの所有者全員で所有権を持つ「共用部分」の変更はできない。また、防音面から使用できる床材が管理規約で決められている場合もあるので確認を。